米国の利払いが防衛費を超えた——36兆ドルの国家債務が示す、個人投資家への教訓

米国の利払いが防衛費を超えた——36兆ドルの国家債務が示す、個人投資家への教訓 - 加藤智也ノートのアイキャッチ画像 マクロ・資産防衛

先日、海外の投資情報ニュースレターを読んでいて、思わず手が止まるような数字に出会った。

米国の国家財政の話だ。

F/A-18 Super Hornetという戦闘機がある。米海軍が主力として使っているやつで、1機あたりの価格は約5,700万〜6,700万ドル。日本円にすると、1機で80億〜97億円という計算だ。

驚くのは価格だけではない。

飛行中の運用コストが時間あたり22,000〜30,000ドル(約320万〜440万円)かかる。燃料だけでなく、整備・人件費込みの実コストがそれほどかかるわけだ。

そして——米国の平均的な連邦所得税の負担額は2022年で約13,890ドル。F-18が1時間空を飛ぶたびに、アメリカ人2人分の年間税金が燃えていく計算になる。

すごい話だと思わないか?

でも、実はここから本題だ。

防衛費より大きくなった「利払い費」

米国の2025年の連邦予算の内訳を見ると——

  • 社会保障:22%
  • メディケア(高齢者医療):15%
  • 国防費:13%

そして、今や国防費を上回る支出が一つある。国債の利払いだ。

アメリカの国家債務は今や36兆ドルを超えている。日本円にすると約5,200兆円。もはや想像もつかない規模だ。

この数字のリアルさを感じてもらうために、こう考えてみてほしい。

NVIDIA・Apple・Alphabet・Microsoft・Amazon——この「世界で最も時価総額の大きい5社」の時価総額を合計する。その2倍が、今の米国の国家債務だ。

25年前の国家債務は5.8兆ドルだった。毎年、収入以上に使い続けた結果、昨年は赤字が1.78兆ドルに達した。そして今年は、まだ2ヶ月を残してその額をすでに超えている。

利払いだけでも、昨年初めて1兆ドル(約145兆円)を突破した。今年も同様の水準が続く見通しだ。

正直、他人事に思えない

私はNVDA(エヌビディア)をポートフォリオに持っている。取得単価は約120ドルで、今は228ドル前後(+90%)。AAPL(アップル)も133ドルで買って今は314ドル超(+136%)だ。

だからこそ、「これらの時価総額の2倍が国家債務」という話は、妙にリアルに感じる。

自分が保有している企業の価値を積み上げてなお、まったく追いつかない規模の借金が国家として積み上がっている——。

「米国は破綻しない」という話はよく聞く。おそらくその通りだろう。でも、その過程でインフレが加速し、通貨の価値が少しずつ失われていくことは、歴史が示している。

では、投資家はどう動くか

私が今やっていることは大きく3つだ。

① 株式資産を積み上げ続ける

インフレに対して最も強いのは、やはり企業の収益力だ。VOO(S&P500インデックス)やVYM(高配当ETF)を軸に、長期で積み上げている。防衛関連企業は今後もこの財政状況の中で恩恵を受け続けるセクターの一つだと思っているが、直接保有はしておらず、VOOを通じて間接的に組み込まれている形だ。

② 配当・キャッシュフロー重視にシフト

2026年に入って、成長系ファンドを一部整理して、米国高配当株ファンドに大きくシフトした。「持っているだけで定期的にお金が入ってくる」仕組みを、ポートフォリオに組み込んでいくことが、これからの時代に合っていると感じている。「ドルが多少弱くなっても、企業が稼ぎ続ける限り配当は出続ける」——そういう発想だ。

③ 分散は大前提

VOO・VYM・SPYDなどの米国ETF、日本株、アジア新興国株、と幅広く分散している。一点集中のリスクを避けながら、インフレで価値が下がらない資産に少しずつシフトしている。

まとめ:数字の大きさに慣れないこと

36兆ドルという数字は、もはや「ピンと来ない」レベルだ。

でも、毎年1.78兆ドル以上赤字が増え、利払いだけで年1兆ドルを超えた現実は、じわじわと私たちの資産の実質価値を削っていく。

「米国は大丈夫」という前提に乗っかりながらも、その歪みに備えて資産を構成していくこと——。今日の記事は「防衛株を買え」という話ではなく、「自分のお金を守るための設計を改めて考えよう」という話でした。

💡 銘柄・企業の補足

General Dynamics(GD):米国最大の防衛企業のひとつ。戦車・艦船・軍用機の製造に加え、IT・通信システムも手がける。防衛費の拡大が追い風となっており、過去3年で株価は80%超の上昇を記録。

F/A-18 Super Hornet:ボーイング製の艦載戦闘機。米海軍の主力機で、1機あたりの価格は5,570万〜6,740万ドル(2026年現在の調達価格)。現在もボーイングが米海軍との約12億ドルの契約を履行中。

米国の利払い費:2025年度、初めて年間1兆ドルを突破。これは国防費(約8,000億ドル)を上回る規模。国家財政において「利払い費が最大の支出項目」になるのは、歴史的に異例の事態だ。

📊 加藤智也の分析メモ

「国家債務なんて遠い話」と思いがちだが、実は毎年のインフレ率・金利水準・為替に直結している話だ。

私がこの記事を書きながら感じたのは、「自分のポートフォリオが防衛できているかどうか」の再確認だった。VOO・VYMは継続積立中。2026年に入ってからの高配当シフトも、改めて「これが正しい方向だ」と思えた。

国債の利払いが防衛費を超えるという事実——これは、「米国の財政運営が変わらない限り、インフレ圧力は続く」というメッセージだと私は受け取っている。インフレに強い資産を少しずつ積み上げていくこと、それが今できる最善の備えだと思っている。

なお、ローマ帝国と重ね合わせた財政悪化の話は別の記事でも書いているので、興味があれば合わせて読んでほしい。

※本記事は個人の見解であり、特定の銘柄や投資商品の売買を推奨するものではありません。投資は自己責任でお願いします。

borrowing、米国債務40兆ドルとYCCについても別記事で掘り下げている。(米国の借金40兆ドルとYCCの記事)

コメント

タイトルとURLをコピーしました