投資信託関連のニュースを見ていたら、「2026年上期の投信流入額が過去最高の12.5兆円に達した」という話が出ていた。新NISAの積立効果、恐るべしという感じの数字だが、内訳をよく見てみると、ちょっと気になる偏りがあった。
上期だけで12.5兆円、その7割近くが外国株ファンド
2026年上期(1〜6月)の投資信託への資金流入額は、過去最高となる12.5兆円。このうち外国株ファンドへの流入が8.6兆円と、全体の7割近くを占めている。さらに細かく見ると、上位2本の低コストインデックスファンドだけで合計3.4兆円もの資金を集めており、個人投資家の資金流入のうち圧倒的多数がこの2本に集中している状況だという。NISA口座経由の資金は投信市場全体の流入額の約3割を占めるまでになっており、新NISAが個人の資産形成行動をここまで変えたのかと、あらためて数字で実感した。
「みんなが同じ2本を買っている」ことをどう捉えるか
低コストのインデックスファンドに資金が集中すること自体は、決して悪いことではない。信託報酬の低さ、分散の効きやすさを考えれば、初心者が最初に選ぶ商品としては合理的な選択だと思う。ただ、これだけ2本に資金が偏っている状況を見ると、「本当にみんな中身を理解して選んでいるのか、それとも”人気だから”という理由だけで選んでいるのか」という点は、少し立ち止まって考えたくなる。人気ランキングの上位商品を追いかけること自体は間違いではないが、「なぜその商品が人気なのか」を自分の言葉で説明できるかどうかは、また別の話だ。
「集中」のリスクをどう考えるか
個別銘柄への集中投資と違い、インデックスファンド2本への資金集中は、ファンドそのものが数百〜数千銘柄に分散されているため、直接的な「銘柄集中リスク」にはあたらない。ただし、その2本が仮にどちらも「全世界株式」や「米国株式」に連動する商品だった場合、結果として”地域”という軸では偏りが生まれている可能性がある。実際、資金流入の7割が外国株ファンドという数字を見ると、個人投資家全体としては海外(特に米国)への資金配分が相当厚くなっていると考えられる。
自分のNISA口座を振り返ってみる
自分自身のNISA口座も、正直に言うと全世界株式・米国株式インデックスが中心で、この「みんなと同じ2本」の傾向とそう大きくは変わらない。ただ、他にVXUS(全世界除く米国)やDEM(新興国高配当)のような商品も一部組み込んでいるので、意識的に地域を分散させている部分もある。今回の数字を見て、自分の資金配分が「多くの人と同じ方向を向いているだけなのか、それとも自分なりの意図があるのか」を、あらためて棚卸ししてみるきっかけになった。
まとめ
新NISAの投信流入額が過去最高を更新したこと自体は、個人の資産形成が着実に進んでいる証拠だと前向きに捉えたい。一方で、資金の集中先がかなり偏っているという事実は、「みんなが買っているから安心」という思考停止に陥っていないか、一度立ち止まって確認する材料にもなる。人気商品を選ぶこと自体は悪くないが、「なぜ自分はこれを選んだのか」を説明できる状態を保っておきたいと思う。
💡 用語の補足
「低コストインデックスファンド」とは、日経平均株価やS&P500、MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(通称オルカン)といった特定の指数に連動することを目指し、信託報酬(運用管理費用)を低く抑えた投資信託のこと。個別に企業を調査・選定するアクティブファンドに比べて運用コストが低く、長期の資産形成に向いているとされ、新NISAのつみたて投資枠でも人気の中心となっている。
📊 加藤智也の分析メモ
「過去最高の資金流入」という見出しだけを見ると手放しで喜んでしまいそうになるが、内訳まで見て初めて気づくことがあるというのは、今回のニュースであらためて実感した。自分の口座の中身も、たまには数字で振り返る習慣をつけたい。
※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の投資信託・商品への投資を推奨するものではありません。データは2026年9月時点で公表されている情報に基づいており、今後の数値は変動する可能性があります。投資判断はご自身の責任で行ってください。


コメント