名目賃金は34年ぶりの伸び、なのに家計は苦しい理由——値上げの秋に最初に見直すべき「保険料」

名目賃金は34年ぶりの伸び、なのに家計は苦しい理由——値上げの秋に最初に見直すべき「保険料」 - 加藤智也ノートのアイキャッチ画像 生活とお金

「名目賃金が34年ぶりの伸び」というニュースを見て、一瞬「今年はボーナスに期待できるかも」と思ったが、よく考えると自分の実感としてはそこまで生活が楽になった感覚がない。なぜ賃金が伸びているのに家計は苦しいままなのか気になって調べてみると、値上げの秋に向けて、まず見直すべきは意外にも”保険料”だという指摘に行き着いた。

「34年ぶりの伸び」でも喜べない理由

名目賃金の伸び率が34年ぶりの水準に達したというニュースは、数字だけ見ると明るい話に見える。しかし、これはあくまで「名目」の話だ。物価上昇率を差し引いた「実質賃金」で見ると話はまったく変わってくる。2025年通年の実質賃金指数は前年比-1.3%で、4年連続のマイナスだった。つまり、額面の給料は増えているのに、物価の上昇スピードがそれを上回っているため、実質的な購買力はむしろ目減りしているというのが実情だ。給料が増えた実感より、レジで払う金額が増えた実感の方が強いのは、この「名目と実質のねじれ」が原因だったというわけだ。

9月から本格化する「値上げの秋」

そこに追い打ちをかけるのが、9月以降の値上げラッシュだ。2026年9月の飲食料品値上げは4,000品目を超え、年内で最多の水準になる見通しとなっている。調味料、冷凍食品、乳製品、飲料、菓子など、日常的に使う品目が中心だ。値上げの要因としては、原材料高が9割超、エネルギー高が6割超を占め、中東情勢の影響とみられる値上げも3割近くにのぼるという。しかも価格を据え置いたまま内容量を減らす「実質値上げ」も同時に進んでいるため、家計の体感負担は公表されている数字以上に重くなりやすい。

「最初に見直すべきは保険料」という意外な指摘

値上げの秋を乗り切るために、家計簿アプリでの節約や外食の回数を減らすといった対策を考えがちだが、専門家が最初に見直すべきだと指摘しているのは”保険料”だという。理由は単純で、保険は一度加入すると見直す機会が少なく、ライフステージの変化(独身から結婚、子供の独立など)に対応できていない過剰な保障が残ったままになりやすいからだ。生命保険では、独身であれば大きな死亡保障よりも医療保険・就業不能保険などの方が実際のリスクに合っていることが多く、自動車保険では運転者を本人や家族に限定する「運転者限定割引」を使うだけで保険料が下がるケースがある。さらに見落とされがちなのが、火災保険・自動車保険・傷害保険で補償内容が重複しているケースだ。重複して加入していても保険金が二重にもらえるわけではないため、単純に払い過ぎになっている可能性がある。

なぜ「保険料」がまず狙い目なのか

食費や光熱費は毎月変動があり、切り詰めるにも限界がある一方、保険料は一度見直せば効果が継続する固定費だという点が大きい。仮に月5,000円分の保険料を見直せられれば、年間で6万円、10年で60万円という規模になる。値上げによる負担増が年数万円規模になりうる今の状況では、こうした固定費の見直しで浮いた分を相殺する、という発想は理にかなっていると感じた。

投資家目線:浮いたお金をどう活かすか

保険料の見直しで浮いたお金は、そのまま使ってしまうのではなく、NISA口座での積立に回すという選択肢も考えられる。自分自身、eMAXIS Slim 全世界株式などへの定期積立を継続しているが、固定費の見直しと積立投資をセットで考えることで、値上げラッシュの中でも資産形成のペースを崩さずに済む。家計防衛と資産形成は別物のように思われがちだが、実際には「守り」で浮いたお金を「攻め」に回す、という一連の流れとして捉えるのが効率的だと思う。

💡 補足

・「名目賃金」は物価変動を考慮しない、額面通りの賃金の伸び率。「実質賃金」は物価上昇分を差し引いた、実際の購買力を示す指標
・「運転者限定割引」は自動車保険で運転者の範囲を本人・夫婦・家族などに限定することで保険料が安くなる仕組み。ただし限定した範囲外の人が運転して事故を起こすと補償されないため、家族構成の変化に応じて都度見直す必要がある

📊 加藤智也の分析メモ

「賃金が伸びている」というニュースだけを見て安心していたら、実質賃金は4年連続マイナスだったという事実に、改めて数字の裏側まで見る大切さを感じた。保険料の見直しは地味だが、一度やれば効果が続く固定費対策として、値上げの秋にこそ着手する価値があると思う。

※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の保険商品・金融商品への加入を推奨するものではありません。賃金・物価に関する統計は2026年9月時点で公表されている情報に基づいており、今後の統計改定や経済情勢により内容が変わる可能性があります。保険の見直しはご自身の状況に応じて、必要であれば専門家にご相談ください。

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