四季報プロ500秋号、純利益増加率ランキングで見つけた「まさかの銘柄」

四季報プロ500秋号、純利益増加率ランキングで見つけた「まさかの銘柄」 - 加藤智也ノートのアイキャッチ画像 テーマ株・セクター

9月16日に発売された『会社四季報プロ500』2026年秋号を見ていたら、今期の純利益増加率トップ50のランキングが目に留まった。上位を見ていくと、まさかの銘柄が2位にランクインしていて、自分の過去の売買を思い出して複雑な気持ちになったので、今日はこのランキングを深掘りしてみたい。

純利益が伸びると、なぜ株価に効いてくるのか

純利益は、企業が売上高から人件費や税金などのコストを全部払ったあとに残る、最終的な儲けのことだ。この純利益は1株当たり利益(EPS)の基礎になるため、株価を左右する重要な指標になる。純利益が増えればEPSも伸び、株価の上昇余地が広がる。個別株に投資するなら、業績予想の中でも特にこの純利益の動向は必ずチェックすべきポイントだと言われている。

1位はまさかの2499.3%増、NIPPON EXPRESSホールディングス

純利益増加率で首位になったのは、日本通運を中核とする総合物流大手のNIPPON EXPRESSホールディングス(9147)。増加率はなんと2499.3%だ。前期(2025年12月期)は欧州事業にかかわる592億円ののれん減損を計上したことで、純利益が26億9300万円(前期比91.5%減)まで落ち込んでいた。今期はその反動に加えて業績も堅調で、8月7日には通期純利益予想を期初の600億円から前期比約26倍増の700億円へ上方修正。翌営業日の8月10日には株価がマドをあけて急伸したという。さらに、コア事業とシナジーのない投資用不動産を売却する方針で、27〜28年に約2100億円の税引き後キャッシュを創出し、うち約1100億円を自社株買いに充てる計画もあるというから、株主還元の面でも注目される銘柄だ。

2位は日本製鉄。実は自分が「損切りした直後に上がった」銘柄

個人的に一番反応してしまったのが2位の日本製鉄(5401)だ。増加率は1590.2%。前26年3月期の純利益は171億5800万円だったが、これはUSスチール買収に伴うAM/NSカルバートの持分譲渡などで2712億円の事業再編損を計上した結果で、大きく落ち込んだ数字だった。今27年3月期はUSスチールの収益寄与が本格化する見通しで、純利益は2900億円を見込む。8月4日には、アメリカの鋼材市況上昇を受けてUSスチールの実力ベース事業利益見通しを1000億円以上から1800億円以上へ上方修正している。実は自分は、この日本製鉄を3,186円・2,701円・599円と3回に分けて買い増ししていたのだが、2026年6月8日に540円で500株を損切りしてしまった。今の株価は671円まで戻っており、単純計算で+24%ほど。あのとき手放していなければ、と思うと正直悔しい。ただ、あのタイミングでは事業再編損の重さと国内事業の苦戦ばかりが目についていて、USスチールの収益がここまで急回復するとは正直読み切れていなかった。損切りした判断自体が間違っていたとは思わないが、「一時的な損失の反動」がどこまで大きく効いてくるかを見誤ったのは、今回の教訓として覚えておきたい。

3位のSMKにも共通する「前期の反動」というパターン

3位のSMK(6798)は増加率1328.6%。前26年3月期の純利益はわずか5600万円だったのに対し、今27年3月期は8億円を計画している。前期は約3億円の減損損失に加えて法人税負担も重く、純利益が低水準にとどまっていたという。ただし本業にも改善の兆しがあり、リモコンなどを手がけるSCI事業では固定費削減による採算改善が進み、車載バッテリーや再生可能エネルギー関連向けのコネクター事業(CS事業)も伸びているとのことだ。

ランキングを鵜呑みにしないための注意点

ここまで見てきて分かる通り、上位3社に共通しているのは「前期に一時的な損失(減損など)を計上していて、その反動で今期の増加率が跳ね上がっている」というパターンだ。純利益の増加率が大きい企業を見るときは、それが本業の利益成長によるものなのか、前期の一時要因の反動にすぎないのかを見極めることが重要になる。単純に「増加率が高い=有望株」と捉えてしまうと、判断を誤りやすいという点は、今回のランキングを見て改めて実感した部分だ。

投資家目線:数字の裏側にあるストーリーを見る

日本製鉄を損切りした自分の経験から言えるのは、「なぜ純利益が落ち込んでいるのか」「その要因は一時的なものか、構造的なものか」を丁寧に見ておくことの大切さだ。当時の自分は事業再編損という数字の大きさに気を取られ、USスチールという成長ドライバーの本格的な収益貢献を織り込みきれていなかった。ランキング上位の銘柄を見るときも、増加率の数字だけで判断せず、その裏にあるストーリー(何が一時的で、何が今後も続く要因なのか)まで確認する癖をつけたいと思う。

まとめ

四季報プロ500秋号の純利益増加率ランキングは、単に「儲かっている会社」を並べたものではなく、前期の一時的な損失の反動で数字が跳ね上がっている企業が上位を占めているケースが多い。日本製鉄のように、自分が過去に売買した銘柄が思わぬ形でランクインしてくると、当時の判断を振り返るいい機会になる。ランキングは入り口として使いつつ、その先の「なぜ」まで掘り下げる姿勢を大事にしたい。

💡 補足

・「のれん減損」とは、M&Aで買収した企業の価値が想定より下がったと判断した際に、その差額を損失として計上する会計処理のこと
・EPS(1株当たり利益)は、純利益を発行済み株式数で割った指標で、株価水準を判断するPER(株価収益率)の計算にも使われる基礎的な数字

📊 加藤智也の分析メモ

日本製鉄を540円で損切りしたときは「国内事業の苦戦」ばかりが目について、USスチールという海外の成長エンジンの存在を軽視していた気がする。損切り自体は当時の情報での合理的な判断だったと思うが、「一時的な損失の反動がどこまで大きいか」を見積もる難しさを、身をもって学んだ銘柄になった。

※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。業績数値やランキングは『会社四季報プロ500』2026年秋号および東洋経済オンラインの報道内容に基づいており、2026年9月時点の情報です。投資判断はご自身の責任で行ってください。

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