FRBが3年2カ月ぶり利上げしたのに、株はなぜ上がったのか

FRBが3年2カ月ぶり利上げしたのに、株はなぜ上がったのか - 加藤智也ノートのアイキャッチ画像 マクロ・資産防衛

「FRBが利上げを決定」というニュースを見て、まず頭に浮かんだのは「また株が売られるな」という予想だった。ところが翌日の米国株を確認して、その予想は外れた。むしろ上がっていたからだ。

FRBが3年2カ月ぶりの利上げを決定

2026年9月16日のFOMC(連邦公開市場委員会)で、FRBはフェデラルファンド金利の誘導目標を3.50〜3.75%から3.75〜4.00%へ0.25%引き上げることを決定した。2023年7月以来、実に3年2カ月ぶりの利上げで、採決は12対0の全会一致だったという。

背景にあるのはインフレの高止まりだ。総合CPIは前年比+3.4%、コアCPIも+2.5%と、FRBが目標とする2%を上回った状態が続いている。声明文では「経済活動は堅調に拡大」としながらも、「インフレは依然高止まりしている」と明記されており、景気の強さとインフレ警戒の両方がにじむ内容だった。

「利上げ=株安」のはずが、翌日はむしろ株高だった

教科書的には、利上げは株式市場にとって向かい風とされる。借入コストが上がり、将来の企業利益の割引率も上がるからだ。ところが9月17日の米国株はS&P500が約1%上昇し、半導体株を中心とした指数は3%高となった。

理由として挙げられていたのが、原油価格の下落だ。中東での供給懸念が和らいだことでブレント原油は1バレル104ドル前後まで下落し、「これでインフレはある程度制御できる」という安心感が広がったとされている。加えて、今回の利上げ自体はある程度市場に織り込まれていたため、「サプライズで売られる」という展開にはならなかったようだ。

同時に発表されたドットチャート(FOMC参加者による政策金利見通し)では、参加者16人が年内にさらに1回以上の利上げを予想しており、2026年末の政策金利見通しの中央値は4.1%となった。2027年にも追加利上げの可能性が示唆されており、決して「利上げは今回で打ち止め」というムードではない。

金利は単体では完結しない

米10年債利回りは、8日連続で上昇していた流れが今回の会合後に反落した。一方で為替市場では、FOMCの利上げ決定を受けてドルが全面高となり、ドル円は一時156円台まで円安が進んだ。米国の金利が上がれば日米の金利差が意識されやすくなり、円安圧力につながる、という構図自体は従来通りだ。

「利上げなのに株高、なのに債券利回りは反落、なのに円安」と並べると、一見バラバラな動きに見えるかもしれない。ただ、それぞれ「インフレへの安心感」「利上げそのものの織り込み済み」「日米の金利差」という別々の理由が同時に働いた結果だと考えると、それほど不思議ではない。

個人投資家にとっての実用的な視点

自分は米国株・米国ETFの比重が高いポートフォリオを組んでいるので、こういうときこそ「利上げ=即売り」という単純な反応をしないよう意識している。今回のように、利上げの理由(インフレ抑制)がポジティブに解釈される場面もあれば、逆に「まだまだ利上げが続く」という警戒で売られる場面もある。同じ「利上げ」というニュースでも、その裏にある文脈次第で市場の反応はまったく変わってくる。

まとめ

FRBの3年2カ月ぶりの利上げは、「利上げ=株安」という単純な図式では説明できない値動きを引き起こした。ドットチャートが示す通り、年内・来年にかけてさらなる利上げの可能性も残っており、先行きを楽観一辺倒で見るのは早計だ。ただ、少なくとも「なぜ株が上がったのか」という理由の部分まで確認しておく習慣は、今後も持っておきたい。

💡 用語の補足

「ドットチャート」は、FOMC参加者一人ひとりが今後の適切な政策金利水準をドット(点)で示し、その分布をまとめたグラフのこと。年4回、経済見通し(SEP)の公表にあわせて発表され、市場はここからFRBが今後どのくらいのペースで金利を動かすつもりかを読み取ろうとする。「フェデラルファンド金利」は、銀行間で資金を貸し借りする際の金利で、FRBが誘導目標を設定することで、住宅ローンや企業融資など幅広い金利に影響を与える。

📊 加藤智也の分析メモ

「利上げ=株安」という反射的な思い込みは、自分にもあったなと今回あらためて感じた。ニュースの見出しだけで判断せず、その裏にある理由(今回で言えば原油安やインフレ見通し)まで確認する癖を、これからも大事にしたい。

※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の商品・銘柄への投資を推奨するものではありません。金融政策・市場データは2026年9月時点の情報に基づいており、今後変動する可能性があります。投資判断はご自身の責任で行ってください。

コメント

タイトルとURLをコピーしました