「携帯電話をハッキングして通話ややり取りを入手し、犯罪を未然に防ぐ」——そんなニュースを見て、思わず「ついにこの時代が来たか」と感じました。調べてみると、2026年9月2日に警察庁の有識者検討会が「提言骨子」を公表したばかりのタイミングでした。まさに動き出したばかりの話です。
何が提言されたのか
対象になっているのは、特殊詐欺などを繰り返す「トクリュウ(匿名・流動型犯罪グループ)」の”指示役”のスマートフォンです。手法は「遠隔解析」と呼ばれるもので、端末を押収しなくても専用のソフトウェアを使って通信内容にアクセスするというものです。
背景にあるのは、Signalのような暗号化されたメッセージアプリの普及です。メッセージが自動的に消える機能もあり、たとえ捜査で端末を押収できても、証拠がすでに消えていて手がかりが掴めない。そこで、犯行計画の段階で情報を得て、被害が出る前に止めようという発想のようです。
一応の歯止めはある
さすがに無制限に何でもできるわけではなく、次のような要件が示されています。
- 裁判所の令状が必須
- 令状の範囲外で得た情報は削除
- 対象者には事後に通知される
ただ、これはまだ「提言骨子」の段階で、正式な法案の中身はこれから詰められていく部分も多いようです。
加藤智也の視点:マイノリティ・リポートの世界が近づいてきた
個人的にトム・クルーズ主演の「マイノリティ・リポート」がかなり好きな映画なのですが、あの作品でも「犯罪が起きる前に取り締まる」ことのプライバシー上の是非が大きなテーマになっていました。当時は近未来のSFとして見ていたものが、今まさに現実の議論として目の前に出てきているのを感じます。
デジタル技術の進歩のスピードは本当にすさまじく、「気づいたらこんな技術が実用段階に来ていた」ということが今後も増えていくのだろうなと実感しました。
投資目線:社会の流れが向かう先
具体的な銘柄というよりは、こういう社会の流れそのものに注目したいところです。犯罪の手口がデジタル化・巧妙化していく以上、それに対抗する情報セキュリティやデジタルフォレンジック(デジタル証拠の解析)関連の技術・企業には、今後も追い風が吹き続けそうだと感じます。捜査機関向けだけでなく、企業のセキュリティ需要も含めて、この分野全体がじわじわ伸びていく可能性はありそうです。
代表的な銘柄としてはZscaler・Palo Alto Networks・CrowdStrikeといったサイバーセキュリティ企業が挙げられる。Zscalerについては別記事で投資視点をまとめたので、興味があれば読んでみてほしい。
・トクリュウ(匿名・流動型犯罪グループ):暴力団のような固定的な組織ではなく、SNSの「闇バイト」募集などで一時的に集まり、役割を細分化しながら特殊詐欺・強盗などを行う犯罪集団
・遠隔解析:端末を物理的に押収せず、専用ソフトウェアを使って通信内容やデータにアクセスする捜査手法
・通信の秘密:憲法21条2項で保障されている、通信内容を国家に検閲・傍受されない権利
このニュースを見て一番感じたのは、「便利」と「怖さ」が本当に紙一重だということです。特殊詐欺の被害額が年々増えている現実を見れば対策強化は必要だと思う一方で、無関係な人が巻き込まれるリスクをどう最小化するかは、技術が進むほど難しくなっていく問題だと思います。映画で描かれた葛藤が、フィクションではなく制度設計の現場で実際に議論されている——そんな時代の転換点を見ている気がしました。
よくある質問
Q. 一般人の通信も対象になるの?
提言の対象はあくまで「トクリュウの指示役」など、特殊詐欺・強盗の実行を計画している疑いのある人物で、裁判所の令状も必須とされている。ただ、こうした制度は導入後に対象範囲が広がっていくケースも過去にあるので、今後の法制化の議論は注視しておきたい。
Q. セキュリティ関連株は今から投資するには遅い?
デジタル犯罪対策の需要は構造的に増え続けるテーマだと考えているので、遅いとは思わない。ただ個別銘柄は値動きが荒い時期もあるので、自分は様子を見ながら分散して関わる程度にとどめている。
※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の政策・法案への賛否や特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。


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