「AIを制する者が勝つ」——トランプ大統領がそう言い切ったというニュースを見て、9月24日に控えている米中首脳会談が、単なる外交儀礼ではなく、AIを巡る本格的な攻防の場になりそうだと感じた。調べてみると、半導体の密輸疑惑から貿易「休戦」の駆け引きまで、思っていた以上に生々しい話が動いていた。
異例の歓待で始まる米中首脳会談
習近平国家主席は9月23日、夫人の彭麗媛氏を伴いワシントン郊外のアンドルーズ空軍基地に到着し、トランプ大統領自らが出迎えるという異例の歓待を受ける予定だ。翌24日にホワイトハウスで行われる首脳会談では、AI・貿易・関税が主要議題になる見通しとされている。国賓待遇の公式夕食会には、OpenAIのサム・アルトマンCEO、エヌビディアのジェンスン・フアンCEO、さらにはイーロン・マスク氏といった大物テック経営者が顔をそろえるという、かなり異例の顔ぶれになっている。
火種①:エヌビディア製半導体の「密輸疑惑」
米国は国家安全保障上の懸念を理由に、2022年から米国設計の最先端AI半導体の対中輸出を制限してきた。ただ、この措置が想定通りに機能していないという認識が広がっている。米検察当局は、エヌビディア製の先端AI半導体が中国の顧客向けに密輸された疑いで複数の大規模な捜査を進めており、今年にはスーパー・マイクロ・コンピューターの共同創業者が、輸出規制違反を手助けした疑いで起訴された。さらに、中国のAI企業ムーンショットAI(月之暗面)が発表した大規模言語モデル「Kimi K3」について、ホワイトハウス当局者は、エヌビディア製半導体をタイ経由の遠隔アクセスで違法に利用していたと非難している(中国側は反論)。米議員の間では、クラウドコンピューティングを介した”遠隔レンタル”という抜け穴を塞ぐための超党派法案も審議中で、商務省も追加の取り締まり策を検討しているという。
火種②:貿易「休戦」とレアアースの駆け引き
もう一つの焦点が、関税を巡る貿易「休戦」の扱いだ。中国からのレアアース(希土類)供給拡大については、米政権はすでに「交渉済み」と表明している一方、その見返りとして半導体などの輸出規制を緩和するつもりはない、という姿勢を強調している。つまり、レアアースという中国側の”武器”は受け取りつつ、AI半導体という自国側の”武器”は手放さない、という強気な構えだ。イラン情勢や台湾問題も合わせて議題に上るとみられており、AI・貿易・安全保障が絡み合った、一筋縄ではいかない会談になりそうだ。
投資家目線:規制と対話の綱引きが続く
自分は米国株・米国ETFの比重が高いポートフォリオを組んでいて、AI関連の値動きにも自然と関心が向く。今回の一連の動きを見て感じるのは、「対話をしながらも、規制の手綱は緩めない」という米国側の姿勢がかなり一貫しているということだ。晩餐会にAI業界のトップが顔を揃えるという”友好的な演出”の裏で、密輸摘発や遠隔アクセス規制の法案は淡々と進んでいる。半導体・AI関連株にとっては、こうした「対話ムード」と「規制強化」が同時に進む展開が、しばらく株価のブレ要因になり続けそうだと感じている。
まとめ
9月24日の米中首脳会談は、表向きは友好的な晩餐会が演出されているが、その裏では半導体密輸の摘発や遠隔アクセス規制の法整備が着々と進んでいる。レアアースと半導体という互いの”武器”を巡る駆け引きも続いており、AIを巡る米中の攻防は、会談一回で決着するような単純な話ではなさそうだ。会談後の発表内容だけでなく、その後も続く規制動向まで含めて追いかけておきたいテーマだと感じた。
💡 補足
・米国は2022年以降、国家安全保障上の懸念を理由に、エヌビディアなど米国設計の最先端AI半導体の対中輸出を段階的に規制してきた
・「クラウド経由の遠隔アクセス」とは、中国企業が海外にあるデータセンターの計算資源をクラウドサービス経由で借りることで、直接の半導体輸出を伴わずに高性能AI半導体の計算能力を利用する手法。これが輸出規制の”抜け穴”として問題視されている
📊 加藤智也の分析メモ
晩餐会にAI業界のトップが並ぶという華やかな話題と、半導体密輸の摘発という地味だが重い話題が同時に進んでいるのを見て、米中関係の”表の顔”と”裏の顔”を両方見ておく必要があると改めて感じた。友好ムードのニュースだけを見て安心するのではなく、規制がどこまで緩むのか、あるいはむしろ強化されるのかまで、会談後も追いかけていきたい。
※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の政策・企業・銘柄への投資を推奨するものではありません。国際情勢・外交日程に関する内容は2026年9月時点で報道されている情報に基づいており、会談の実際の結果や今後の展開により内容が変わる可能性があります。投資判断はご自身の責任で行ってください。


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