ジュニアNISAはなぜ「出口が面倒」だったのか──廃止された子供向け非課税制度を振り返る【前編】

ジュニアNISAはなぜ「出口が面倒」だったのか──廃止された子供向け非課税制度を振り返る【前編】 - 加藤智也ノートのアイキャッチ画像 節税・制度活用

これまでNISA関連の記事をいくつか書いてきたが、よく考えたら「子供のためのNISA」については一度も触れていなかった。調べ直してみると、これがなかなかややこしい制度で、しかも今まさに新しい制度への切り替わり時期にあたっていることがわかった。今回は前編として、2023年で廃止された「ジュニアNISA」を振り返り、後編で2027年から始まる新しい「こどもNISA」について書く。

ジュニアNISAとは何だったのか

ジュニアNISAは2016年にスタートした、未成年(0〜17歳)を対象とする少額投資非課税制度だ。子・孫名義の口座を親権者が代理で運用し、年間80万円までの投資について、配当金や売却益が非課税になるという仕組みだった。

非課税期間は最長5年。制度の目的は、子供の将来(進学費用や独立資金など)に向けて、家族単位で長期投資を進めやすくすることにあった。

ジュニアNISAのメリット

制度が生きていた当時のメリットを整理すると、次のようになる。

  • 非課税枠が家族単位で増える:親のNISA枠とは別に、子供1人あたり年間80万円の非課税枠を確保できた。子供が複数いれば、その分だけ家族全体の非課税投資額を増やせる。
  • 長期・複利の恩恵を最大化できる:0歳から始めれば、18歳になるまで18年という長い時間を非課税で運用できる。時間を味方につけた複利効果は大きい。
  • 教育資金の準備に使える:大学進学など、まとまった資金が必要になるタイミングに向けて計画的に資産形成できる建て付けだった。

そして「出口が面倒」だった理由

ここが今回一番書きたかった部分だ。ジュニアNISAには「原則として口座開設者が18歳になるまで、資産を払い出せない」という強い制約があった。

問題は、この制約に違反して途中で払い出した場合のペナルティだ。単に「その時の利益に課税される」だけではなく、口座開設以来、非課税で受け取ってきた配当金や売却益のすべてに遡って課税されるという仕組みになっていた。災害など、やむを得ない事由による払い出しは例外的に非課税のままだったが、それ以外の理由(急にお金が必要になった、など)で引き出すと、過去分がまとめて課税対象になる。これが「ジュニアNISAは出口が面倒」と言われた最大の理由だ。

さらに、非課税期間の5年間が終わった後の扱いも複雑だった。18歳になる前に5年が経過した場合は「継続管理勘定」という別枠に自動的に移管され、そこで非課税のまま保有を続けられる仕組みにはなっていたが、この移管や、成人後の新NISAへの資産の引き継ぎ(ロールオーバー)ができないという制約もあり、「結局、資産をどう着地させればいいのか分かりにくい」という声が多かった。

2024年以降、実は「出口の面倒さ」は解消されている

ここは見落とされがちなポイントだが、2023年末でジュニアNISA自体が廃止(新規投資の受付終了)になったことに伴って、2024年以降は払い出し制限そのものが撤廃されている。今は年齢や理由を問わず、非課税のまま資産を払い出せるようになった。

ただし、これは「口座を廃止する前提」でのみ認められる措置で、一部だけを払い出すことはできない。払い出す場合は口座に残っている資産をすべて引き出し、口座自体を閉じることになる。一部だけ現金化して残りは非課税運用を続ける、という柔軟な使い方はできない。

すでにジュニアNISA口座に資産が残っている人は、慌てて払い出す必要はなく、「継続管理勘定」でそのまま非課税保有を続け、子供が18歳になる年まで置いておく、という選択肢もある。急に資金が必要でなければ、非課税のメリットを使い切るまで置いておくのが基本的には合理的だろう。

💡 ジュニアNISAの補足

・新規口座開設の受付は2023年9月末、新規投資の受付は2023年12月末で終了しており、今から新しく始めることはできない
・非課税期間(5年)が終了しても、手続き不要で自動的に「継続管理勘定」へ移管され、子供が1月1日時点で18歳になる前年12月末まで非課税保有を続けられる
・新NISA(2024年〜)へのロールオーバーはできない

📊 加藤智也の分析メモ

制度としては「子供のために非課税で長期投資できる」という趣旨自体はよくできていたと思うが、途中で払い出すと過去分まで遡って課税されるという設計は、正直かなり使いにくかったのではないかと思う。子育て世帯は急な出費が発生しやすい。その柔軟性のなさが、ジュニアNISAの利用率が伸び悩んだ一因だったのではないかと感じている。次回は、この反省を踏まえて設計されたとみられる、2027年開始予定の新しい「こどもNISA」について書く。

▶ 後編:2027年「こどもNISA」で何が変わる──ジュニアNISAとの違いを徹底比較

※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の制度の利用を推奨するものではありません。制度の詳細は変更される可能性があるため、実際の利用にあたっては金融庁や各金融機関の最新情報をご確認ください。

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