築11年の我が家、修繕費は30年で1,193万円?——10年保証の延長でベランダに30万円、外壁・給湯器のこれからを試算した

生活とお金

家を建てて10年が経ったころ、ハウスメーカーから一通の案内が届いた。「10年の保証がまもなく切れます。今のうちに工事をすれば、保証をさらに10年延長できます」。

この言葉に、私はまんまとつられた(笑)。ベランダの防水工事をお願いして、支払ったのは約30万円。工事の中身は、ざっくり言えば「ベランダの床をきれいにし直した」という感じだった。終わってみて、ちょっと涙が出た。

今年で築11年。外壁も屋根も給湯器も、まだ一度も手を入れていない。ということは、これから大きな出費が順番にやってくるはずだ。気になって、戸建ての修繕費がどれくらいかかるのかを調べてみた。

戸建ての修繕費は30年で「約554万円」と「約1,193万円」

調べてみると、2つの数字が出てきた。

調査 30年の修繕費 中身
アットホームの調査(2026年9月発表) 平均554万円 新築の戸建てに30年以上住んでいる人が、実際に払った金額(木造は平均507万円)
さくら事務所の試算(2026年版) 約1,193万円 延床約115㎡の木造戸建てで、推奨どおりにメンテナンスした場合

倍以上の差があるのは、「実際に払った額」と「本来やったほうがいい額」の違いだと思う。実際には、壊れるまで使ったり、先延ばしにしたりしている家が多いのだろう。

驚いたのは、さくら事務所の試算が5年前の約876万円から約1.4倍に増えていることだ。建築資材の値上がりと、人手不足による工事費の上昇が理由とされている。家のメンテナンスにも、しっかりインフレの波が来ている。

なぜ10年目に「保証延長」の案内が来るのか

新築住宅には、法律で10年間の保証が義務づけられている(住宅品質確保法)。対象は、柱や基礎のような「構造の主要な部分」と、屋根・外壁・窓まわりなどの「雨水が入るのを防ぐ部分」。この10年は、契約で短くすることもできない。

つまり、築10年は法律で決まった保証がちょうど切れるタイミングだ。ハウスメーカーにとっては、「有償のメンテナンス工事をすれば保証を延長します」と案内する絶好の機会になる。私に届いた案内も、まさにこれだった。

保証の延長そのものは悪い話ではない。雨漏りは見つかったときには被害が広がっていることが多く、直すとなると高くつく。ただ、「保証が切れる」という言葉には、どうしても焦らされる。

ベランダ防水30万円は高かった?相場と比べてみた

あとから相場を調べてみた。一般的な戸建てのベランダ(6〜12㎡くらい)の場合、目安はこんな感じだった。

工事の内容 費用の目安
表面の保護塗装(トップコート)の塗り替え 3万〜6万円
FRP防水のやり直し(10㎡の場合) 8万〜15万円
放置して下地まで傷んだ場合 30万〜80万円以上

数字だけを見ると、うちの30万円は「下地まで傷んだ場合」のゾーンに入っている。ただ、ベランダの広さや下地の状態、それに「保証が10年延びる」という価値も含めた値段なので、一概に高いとは言い切れない。

それでも反省点はある。相場を調べる前に決めてしまったことだ。アットホームの調査では、修繕のときに見積もりを頼んだ会社の数は平均1.8社。みんな、あまり比べずに決めているらしい。私もその一人だった。次の大きな工事では、メーカーの見積もりを受け取ってから、少なくとも相場だけは調べるようにしたい。

我が家にこれから来る「請求書」を試算してみた

築11年の我が家で、まだ手をつけていない大物を並べてみた。

項目 時期の目安 費用の目安(2026年)
外壁塗装(30坪) 築10〜15年 75万〜110万円
屋根の塗装(スレート) 築20年まで 60万〜80万円
給湯器(エコキュートの場合) 10〜15年で交換 42万〜66万円(補助金で7万〜10万円引き)
合計 今後5〜10年 約170万〜250万円

外壁と屋根は、どちらも足場を組む工事だ。費用のうち足場代はおよそ2割を占めるので、同じタイミングでまとめてやれば、足場代を一回分で済ませられる。給湯器は壊れてから慌てて交換すると高くつきやすいので、調子が悪くなってきたら早めに比較しておくのがよさそうだ。

ざっくり200万円前後。数年の間にこれだけの出費が来ると思うと、なかなか重い。

9割の人は修繕費を積み立てていない。私もそうだった

アットホームの調査で、もう一つ目を引いた数字がある。戸建てに30年以上住んでいる人のうち、修繕費を積み立てていなかった人は9割以上。修繕費の出どころで一番多かったのは「日常の生活費から」(45.9%)だった。

正直に言うと、我が家もこの「9割」側だ。ベランダの30万円も、専用の積立はなく、生活費と貯金から出した。マンションなら毎月の修繕積立金が強制的に引かれるが、戸建ては誰も積み立ててくれない。

そこで、毎月いくら積み立てればいいのかを計算してみた。

  • 実際に払われている平均554万円を30年で割ると、月約1.5万円
  • 推奨どおりの約1,193万円を30年で割ると、月約3.3万円

我が家は、毎月2万円を「特別費」として積み立てることにした。修繕費だけでなく、家電の買い替えや車まわりの急な出費など、毎月はかからないけれど必ずいつか来るお金をまとめてここから出すつもりだ。数年以内に使う可能性が高いお金なので、値動きのある投資ではなく、預金で取っておく。普段はNISAでの積立を優先しているが、「いつ必要になるか分かっているお金」は別に考えたほうが、いざというときに株を売らずに済む。

家は、住宅ローンを払い終われば終わり、ではなかった。住宅ローンについては固定金利4%時代の記事でも書いたが、持ち家の本当のコストは「ローン+修繕費」で考えないといけないのだと、ベランダの30万円が教えてくれた。

私の判断が正しいとは限りません。でも、こういう角度から見てみると世界が広がる気がしています。

💡 補足
・住宅品質確保法の10年保証:新築住宅の「構造耐力上主要な部分」と「雨水の浸入を防止する部分」について、売主や施工会社は引き渡しから10年間の責任を負う。期間を短くする特約は認められていない
・FRP防水:ガラス繊維で補強したプラスチックの防水層。戸建てのベランダでよく使われる。耐用年数は10〜15年ほどで、表面のトップコートを定期的に塗り替えると長持ちする
・給湯省エネ2026事業:エコキュートへの交換で、1台あたり基本7万円(性能の高い機種は10万円)の補助が受けられる国の制度
📊 加藤智也の分析メモ
「保証が切れる」という言葉は、思っていた以上に人を急がせる。工事そのものが必要だったとしても、相場を知ったうえで決めるのと、知らずに決めるのとでは納得感が違う。修繕費は5年で約1.4倍に上がっていて、先延ばしにしても安くなるとは限らない。だからこそ「いつか来る出費」を月2万円の特別費の積立に変えておくことが、持ち家の家計を守る一番シンプルな方法だと感じた。

※本記事の費用は、アットホーム「一戸建ての修繕費に関する調査」(2026年9月発表)、さくら事務所の2026年版試算、リフォーム各社が公表している2026年時点の相場をもとにした目安です。実際の費用は家の大きさ・地域・劣化の状態・施工会社によって大きく変わります。

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