「年金は払いたくない」56%の中高生──学んだかどうかで意識はここまで変わる

「年金は払いたくない」56%の中高生──学んだかどうかで意識はここまで変わる - 加藤智也ノートのアイキャッチ画像 生活とお金

朝、車の中でラジオを聞いていたら「中高生の年金保険料払いたくない」というニュースが流れてきた。正直、身も蓋もない話だが、その通りだろうなとも思った。ただ話を聞いていくと、単に「若者は冷めている」で終わる話ではなく、社会保障について学校で学んだかどうかで、意識にはっきり差が出るという内容だった。気になったので、自分でも調べてみた。

調査の中身

これは、明治大学専門職大学院ガバナンス研究科とNPO法人Social Change Agencyが、全国の中学生・高校生504人を対象に2025年12月25日から2026年1月4日にかけて実施した意識調査だ。中高生を対象にした全国規模の社会保障意識調査としては初めてのものらしい。

結果を見ると、「将来は年金をもらえないかもしれないので、年金保険料を払いたくない」に対して「そう思う」「まあそう思う」を合わせて56.5%が同意している。また「社会保障は若い人と高齢の人との間で不公平がある」と感じている割合も62.9%にのぼる。ラジオで聞いた通り、率直に言ってかなり冷めた数字だ。

学んだかどうかで、ここまで意識が変わる

面白いのはここからで、学校の授業で社会保障について学んだ経験がある生徒と、ない生徒とでは、意識にはっきりとした差が出ている。

「自分は社会保障を使っているはずだ」と回答した割合は、学習経験者が52.0%だったのに対し、未学習者は22.6%と半分以下だった。「20歳で公的年金に加入することに納得できる」と答えた割合も、学習経験者73.6%に対し未学習者57.5%と、16.1ポイントの差がある。社会保障に対するネガティブなイメージのスコア(5段階評価の平均、数字が低いほど否定的でない)も、学習経験者2.53に対し未学習者2.79と、学んだ生徒の方が否定的な印象を持ちにくいという結果だった。

つまり「制度を知っている」というだけで、当事者意識や納得感がこれだけ変わるということだ。金融教育の重要性が語られることは増えてきたが、社会保障についても同じことが言えそうだ。

知った上でも、それでも思うこと

ただ、ここで一つ正直に触れておきたいことがある。学んだからといって、不公平感がゼロになるわけではないという点だ。実際、税や社会保険料の負担と、受け取る給付のバランスには、世代間で構造的な差があるのは事実として存在する。制度を学んで理解したうえで、それでも「やっぱり割に合わない」と感じる子がいたとしても、それは不思議なことではないと思う。

制度を知ることは、不満を消すための魔法ではない。ただ、知らないまま漠然と「損している」と感じるのと、仕組みを理解したうえで「それでも構造的な差はある」と納得するのとでは、同じ不公平感でも質が違う。少なくとも、感情的な反発だけで終わらず、どこをどう変えれば良くなるのか、という次の議論につながりやすくなる。

支え合いを理解してくれている若者もいる

今回の調査結果を、単に「若者は年金を払いたくないと思っている」というネガティブな話として片付けるのはもったいないと思う。学習経験のある生徒の半数以上が「自分は社会保障を使っているはずだ」と回答しているということは、制度を正しく学べば、それだけ「支え合っている」という実感を持てる若者が増えるということでもある。

自分には子供はいないが、これから社会に出ていく世代がこうした制度を理解したうえで社会人になってくれることは、回り回って自分自身の老後にも関わってくる話だ。他人事ではないと感じる。

まとめ

「年金を払いたくない」という数字だけを見ると暗い気持ちになるが、学んだ生徒とそうでない生徒とで意識がこれだけ変わるという事実は、裏を返せば「教育次第で変えられる余地がある」ということでもある。金融教育と同じように、社会保障についても学校でしっかり教える機会を増やしていくことに、意味はありそうだ。

同じく最近気になったニュースとして、長年下がり続けていた出生数に下げ止まりの兆しが見えてきたという話も書いた。あわせて読んでみてほしい。

💡 調査の補足

この調査は明治大学専門職大学院ガバナンス研究科とNPO法人Social Change Agencyが共同で実施したもので、全国の中学生・高校生504人を対象にインターネット上で行われた。中高生を対象とした全国規模の社会保障意識調査としては初の試みとされている。

📊 加藤智也の分析メモ

この調査結果を読んで、自分が学生の頃に社会保障についてまともに授業で習った記憶がほとんどないことに気づいた。年金の仕組みを実感を持って理解したのは、社会人になって給与明細を見るようになってからだ。もっと早い段階で仕組みを知っていれば、税金や社会保険料に対する見方も違っていたかもしれないと思う。

※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の政策や制度変更を主張するものではありません。調査データは明治大学専門職大学院ガバナンス研究科・NPO法人Social Change Agencyが2025年12月〜2026年1月に実施した調査に基づいています。

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