NISA成長枠、9月の1位は東京海上——優待の新設と15分割で「5万円で買える保険株」に資金が集中。2026年9月の資金の流れを読む

投資入門

楽天証券が発表した、NISAの成長投資枠で人気の日本株ランキング(2026年9月分)を見て、真っ先に目に入ったのは1位の入れ替わりだった。8月は2位以下だった東京海上ホールディングスが、9月は買付金額で1位に躍り出た。

理由ははっきりしている。8月25日に発表された株主優待の新設と、10月1日の株式分割だ。9月は「優待」がNISAのお金を動かした月だったと言っていいと思う。今回も、8月分(前回の記事)と比べながら、9月の資金の流れを読んでみた。

9月の買付金額ランキング:東京海上が1位に

順位 銘柄(コード) 前月から
1 東京海上ホールディングス(8766) ↑
2 イオン(8267) ↓(8月は1位)
3 オリエンタルランド(4661) ↑
4 トヨタ自動車(7203) →
5 三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306) ↓(8月は3位)
6 楽天グループ(4755) ↑
7 三菱重工業(7011) ↓
8 キオクシアホールディングス(285A) ↓(8月は2位)
9 NTT(9432) ↓
10 三菱HCキャピタル(8593) ↑

8月の上位3銘柄は、イオン・キオクシア・三菱UFJだった。9月は東京海上・イオン・オリエンタルランドに入れ替わっている。半導体のキオクシアが2位から8位に下がり、代わりに優待で人気の銘柄が上に来たのが、今月いちばんの変化だ。

1位・東京海上:優待の新設と15分割で「5万円で買える」ように

東京海上は8月25日、株主優待を新しく始めると発表した。中身はこうだ。

  • 毎年3月末に100株以上を3年以上持ち続けている株主が対象
  • 初回(2027年3月)は電子マネーなど7,500円分
  • その後も持ち続ければ、毎年2,500円分

同時に、10月1日付けで1株を15株に分ける株式分割も行った。分割で1株の値段が15分の1になり、100株を買うのに必要なお金は5万円前後まで下がったと報じられている。それまで100株を買うには数十万円が必要だった大型の保険株が、一気に手の届く値段になったわけだ。

この話には、ちょっとした思い出がある。先日Xで、ある個人投資家の方が「東京海上は300株を1人で持つより、3人で100株ずつ持てば優待が3つもらえる」と教えてくれた。家族それぞれのNISA口座で100株ずつ持てば、優待も人数分になる。こういう工夫は、知っているかどうかで差がつくと感じた。

3位・オリエンタルランドと6位・楽天グループも「優待」が絡む

3位に上がったオリエンタルランドは、株主優待(東京ディズニーリゾートのパスポート)で有名な銘柄だ。9月末は優待の権利が確定するタイミングで、株価も5月の年初来安値から9月半ばの高値まで約5割上がっていた。権利確定日の前に買う人が多かったのだと思う。

6位の楽天グループも順位を上げた。こちらは9月に株価が年初来安値の水準まで下がっていて、「安くなったところを拾う」動きもあったように見える。楽天グループには楽天モバイルの株主優待もあり、個人に人気の高い銘柄だ。

保有残高ランキング:高配当株の顔ぶれは変わらず

順位 銘柄(コード)
1 NTT(9432)
2 日本たばこ産業(2914)
3 三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)
4 三菱商事(8058)↑
5 トヨタ自動車(7203)↓
6 オリエンタルランド(4661)
7 KDDI(9433)
8 三菱重工業(7011)
9 ソフトバンク(9434)
10 INPEX(1605)↑

「すでに口座にたまっている株」の上位は、8月と同じくNTT・JT・三菱UFJの3つ。配当の多い株が並ぶのは変わらない。商社の三菱商事が順位を上げ、石油・ガスのINPEXが10位に入ってきたのは、中東情勢で原油価格が上がっていることも関係していそうだ。

ちなみに、国内ETFのランキングでは「日経平均高配当株50指数」に連動するETFが、買付・保有ともに1位を続けている。個別株を選ぶより、高配当株をまとめて持ちたい人が多いのだろう。

加藤智也の視点:保有残高TOP10のうち6銘柄を持っていた

今回も自分の保有銘柄と照らし合わせてみた(月次ポートフォリオ)。保有残高ランキングのTOP10のうち、NTT・JT・三菱UFJ・三菱商事・トヨタ・ソフトバンクの6銘柄を私も持っている。特にトヨタは私の日本株の中で一番大きく、ポートフォリオ全体の約5.8%を占めている。

買付金額ランキングの方では、10位に入った三菱HCキャピタルも持っている。派手さはないけれど、長く増配を続けている高配当株だ。こういう銘柄に新しくお金が入ってくるのを見ると、少しうれしくなる。

一方で、1位の東京海上は持っていない。「100株・3年以上」という条件の優待は、すぐ売る人ではなく、長く持ってくれる株主を増やすための設計だと思う。NISAは長く持つほど得をする制度なので、こうした「長期保有向けの優待」とは相性がいい。分割で5万円前後から買えるようになったので、少額で試しに持ってみる、という選択肢もありだと感じた。

来月の注目ポイント

  • 東京海上の人気は続くか:分割後の10月に、さらに買われるかどうか
  • 半導体株は戻るか:キオクシアが2位から8位に下がった。AI向けメモリーの好調が続けば、また上がってくる可能性がある(マイクロン決算の記事)
  • エネルギー株の動き:INPEXが保有残高10位に入った。原油価格しだいで順位が動きそうだ

💡 補足

・ランキングは楽天証券のNISA口座(成長投資枠)での日本株の売買をもとにしたもので、集計期間は2026年9月1日〜30日
・「買付金額ランキング」はその月に新しく買われた金額の多さ、「保有残高ランキング」はすでに口座にある株の多さを表す
・株式分割をしても、会社の価値そのものは変わらない。1株の値段が下がる分、株数が増える
・株主優待の内容や条件は変わることがあるので、買う前に会社の公式発表を確認したい

📊 加藤智也の分析メモ

8月は「新しく買われる株」と「長く持たれる株」がはっきり分かれていたが、9月は東京海上やオリエンタルランドのように、「長く持つほど得をする優待」が新しいお金を呼び込んでいた。会社の側も、すぐ売る株主より長く持つ株主を増やしたいのだと思う。NISAで個人のお金が株に入ってくるようになって、会社と個人投資家の「長いお付き合い」の形が少しずつ変わってきているのを感じる。毎月このランキングを追っていると、その変化がよく見える。

※本記事は楽天証券のNISA口座(成長投資枠)の日本株ランキング(2026年9月分)と各社の公表情報・報道をもとにした2026年10月5日時点の情報提供を目的としており、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。株主優待の内容は変更・廃止される場合があります。投資判断はご自身の責任でお願いします。

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