原油最高値と迫る値上げの波――ホルムズ危機が家計を直撃する夏から秋への流れ

原油最高値と迫る値上げの波――ホルムズ危機が家計を直撃する夏から秋への流れ - 加藤智也ノートのアイキャッチ画像 マクロ・資産防衛

2026年2月にイランがホルムズ海峡を事実上封鎖してから、もう半年以上が経つ。正直なところ「さすがにもう落ち着いただろう」と思っていたのだが、最近のニュースを見て驚いた。原油の現物スポット価格は1バレル144ドル台と過去最高値を更新し、Brent先物も一時128ドル前後まで上昇しているという。収まるどころか、じわじわと家計を締め上げる段階に入ってきた印象だ。

ガソリンは抑えられても、電気・ガスはこれから本番

ガソリン価格については、政府の「激変緩和措置」によって全国平均は170円程度に抑えられている。補助がなければ180〜200円超に達していてもおかしくない水準らしい。ここだけ見ると「意外と持ちこたえているな」と感じるが、話はそう単純ではない。

電気代・ガス代は、燃料調達から請求書に反映されるまでに2〜5ヶ月ほどのラグがある。つまり、3月の「イランショック」による燃料高は、この夏から秋にかけての請求書にこれから本格的に乗ってくる。東京電力の標準的な家庭(260kWh契約)では前月比で数百円単位、東京ガスの標準家庭でも同様に上昇傾向が続いており、「今月も高いな」と感じる場面がしばらく続きそうだ。実際、我が家でも夏の電気代明細を見て、去年よりだいぶ高くなっているのを実感した。

物流のボトルネックも地味に効いている

もう一つ気になったのが、ディーゼル車の排ガス浄化に欠かせない「アドブルー(尿素水)」の品薄・値上がりだ。国内の大型・中型トラックの9割近くがこれに依存しているらしく、物流コストの上昇に直結している。米国でもディーゼル価格が1ガロン5.85ドルと過去最高値を記録したという話もあり、燃料コストは川上の素材業種から小売・サービス業まで、時間をかけて価格転嫁が進んでいく段階にある。転嫁が一巡するまでには1年程度かかるとも言われており、値上げのニュースはまだしばらく続きそうだ。

エネルギー高は資産防衛の視点でも無視できない

こういう局面で改めて意識するのが、インフレヘッジとしての資産の持ち方だ。自分はAEP(アメリカン電力)、EIX(エジソン・インターナショナル)、UGI(ガス会社)といった米国の電力・ガス関連株を少額ながら保有しているが、派手さはないものの、こういう局面でじわじわ底堅く推移しているのを見ると「持っていてよかった」と思える銘柄群だ。値上がりに文句を言うだけでなく、エネルギーコストの上昇そのものから恩恵を受ける側にも資産を置いておく、という発想は改めて大事だと感じている。

まとめ

ホルムズ海峡の緊張は表面上のニュースの露出こそ減ったが、エネルギー価格への影響は形を変えて今も進行中だ。ガソリンは補助で見えにくくなっている分、電気・ガス代の請求書という形で、この秋にかけて実感することになりそうだ。家計防衛だけでなく、資産の置き場所を考えるうえでも頭の片隅に置いておきたいテーマだと思う。

💡 用語・仕組みの補足

「ホルムズ海峡」は中東の原油の多くが通過する海上輸送の要衝で、封鎖されると世界の原油供給に直接影響が及ぶ。「アドブルー」はディーゼル車の排ガス中の窒素酸化物を減らすために使われる高品位の尿素水で、原料となる尿素の多くを輸入に頼っているため、中東情勢や物流混乱の影響を受けやすい。電気・ガス代の「激変緩和措置」は、燃料価格高騰時に国が一時的に料金の上昇を抑える補助制度で、縮小・終了のタイミングで請求書が急に上がる原因になる。

📊 加藤智也の分析メモ

今回改めて感じたのは、エネルギー価格のニュースは「ガソリン価格」だけを見ていると実態を見誤るということ。ガソリンは補助で抑えられていても、電気・ガス代はラグを伴ってじわじわ効いてくるし、物流コストは目に見えない形で日用品の値段に乗ってくる。値上がりのニュースが一段落したように見えても、家計への影響はむしろこれからが本番、というタイムラグの存在を意識しておきたい。

※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の商品・銘柄への投資を推奨するものではありません。エネルギー価格・料金制度に関する内容は2026年9月時点の情報に基づいており、今後変更される可能性があります。投資判断は自己責任で行ってください。

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