以前、三菱UFJの「エムット Excellent Club」について、自分から申し込むのではなく、条件を満たすと銀行側から招待が届く「オプトアウト方式」の会員組織だという話を書いた。せっかくなので、他のメガバンク・大手銀行にも似たような”招待制”の富裕層サービスがあるのか調べてみたところ、各行それぞれ違う狙い方をしていることが分かった。
みずほ:超富裕層向けに「ワンストップ」で囲い込む
みずほ銀行は2021年7月から「MIZUHO Connected Service」という会員制サービスを展開している。専任の「ウェルスアドバイザー」が中心となり、みずほグループ各社と連携してコンサルティングを提供する仕組みで、対象になるのはエムットよりもさらに上の、超富裕層クラスとされる。銀行・証券・信託といったグループ内のあらゆるサービスを、専任担当者経由でワンストップに提供する「フルコンサル型」の作り込みが特徴だ。
りそな:ATM手数料無料などの実務的な特典中心
りそな銀行には「りそなクラブ パール」という会員制サービスがある。ATM手数料の無料化など、日常的に使う実務的な特典が中心になっているのが特徴で、みずほやUFJのような富裕層向けコンサルティングというより、一定の取引条件を満たした顧客への感謝サービスという色合いが強い。
SMBC:自行の預金だけでなくSBI証券もセットで評価
以前の記事でも紹介したが、三井住友銀行(SMBC)は2026年5月に「Olive Infinite」という最上位カードを打ち出した。年会費は99,000円だが、自行の預金残高500万円以上に加えて、外部の証券会社であるSBI証券の残高500万円以上という条件を組み合わせているのが特徴だ。自行の預金だけでなく、他社である証券会社の資産残高までセットで評価するという発想は、他行にはあまり見られない切り口だった。
各行で「狙う客層」と「囲い込み方」が違う
4行を並べてみると、それぞれ狙っている客層と手法の違いが見えてくる。みずほは超富裕層に専任担当者をつける「コンサル型」、りそなは幅広い顧客への実務的な「感謝サービス型」、SMBCは外部の証券会社と組んで「資産の見えざる部分まで評価する型」、そしてUFJのエムットは「いつの間にか富裕層」という中間層まで招待の網を広げる「オプトアウト型」だ。同じ「富裕層の囲い込み」という目的でも、各行が置かれている競争環境や強みによって、アプローチがまったく異なるのは興味深い。
投資家目線:招待が来るかどうかより、条件を知っておく価値
こうした招待制サービスは、実際に招待が来るまで詳細な条件が分かりにくいことが多い。ただ、あらかじめ各行の条件(残高の目安や必要な取引実績)を知っておけば、自分がどのくらいの距離感にいるのか把握しやすくなる。招待を目的に資産形成をするというより、資産形成を続けた結果として招待が届くかもしれない、というくらいの距離感で捉えておくのがちょうどいいと感じている。
💡 補足
・各社の会員制サービスの詳細な条件・特典は変更されることがあるため、興味がある場合は各行の公式サイトで最新情報を確認することをおすすめする
・招待制サービスの多くは、預金残高だけでなく投資信託・証券口座の残高なども合算して評価される点に注意が必要
📊 加藤智也の分析メモ
4行を比較してみて、同じ「富裕層の囲い込み」でもアプローチがこれだけ違うのかと興味深かった。自分がどの銀行のどんな条件に近いのか、一度整理しておくだけでも、今後の資産形成の目標設定に使えそうだと感じた。
※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融機関・金融商品への加入を推奨するものではありません。各社サービスの内容は2026年9月時点の公開情報に基づいており、今後変更される可能性があります。最新情報は各社公式サイトでご確認ください。


コメント