AnthropicのIPOはNISAで申し込める?【購入編】──11月上場へ延期、抽選に外れたSpaceXは高値から半値に

テーマ株・セクター

【2026年10月 大幅加筆】この記事は8月に書いた「購入編」を、最新の状況にあわせて書き直したものです。上場時期の延期、日本からNISAで申し込める仕組み、SpaceXのIPOのその後、そして私自身の抽選の結果まで、まとめて追記しました。

AnthropicのIPOは11月へ延期、評価額は約2兆ドル

Claude(生成AI)を提供するAnthropicの上場が、当初観測されていた10月から11月に延期されたと報じられている。7〜9月期の決算を投資家に見せてから公開価格を決めたい、というのが理由だ。

報道ベースでは、想定される評価額は約2兆ドル、調達額は最大1,000億ドル。実現すれば、6月のSpaceX(約750億ドル)を抜いて史上最大のIPOになる。8月にこの記事を最初に書いたときは「評価額は数百億ドル規模」と書いていたので、わずか数ヶ月で桁がひとつ変わってしまった。

ちなみにライバルのOpenAIは、アルトマンCEOが「2026年中の上場はしない」と話したとロイターが9月に伝えている。年内の超大型AI上場は、Anthropicがほぼ独占する形になりそうだ。

日本の個人も「公開価格で」申し込めるようになった

8月の時点では「日本からは上場後に買うのが現実的」と書いた。ところがその後、状況が大きく変わった。

6月のSpaceXのIPOで、SBI証券・楽天証券・みずほ証券が日本の個人向けに抽選(ブックビルディング)の受付をしたのだ。当選すれば、上場前に公開価格で買える。しかも新NISAの成長投資枠でも申し込める。米国の大型IPOが、日本のIPOと同じ感覚で抽選に参加できるようになった。

SBI証券 楽天証券
米国株IPOの取扱い 2026年6月のSpaceXから 2026年6月1日からサービス開始
NISA成長投資枠 対応 対応
購入手数料 無料 無料
決済 米ドル(外貨決済) 円貨決済(為替手数料0円)

9月にはソフトバンクグループ傘下のSBエナジーの米国IPOも、両社で申し込みを受け付けている。AnthropicのIPOで日本の証券会社が取り扱うかはまだ発表されていないが、この流れなら取り扱いが出てくる可能性は十分ありそうだ。

私の抽選体験:東京メトロと新生銀行は当選、SpaceXは落選

私は日本のIPOに、ときどき抽選で申し込んでいる。これまでに当たったのは2つだけだ。

  • 東京メトロ(2024年10月上場):公開価格1,200円に対して初値1,630円(+36%)
  • SBI新生銀行(2025年12月に再上場):公開価格1,450円に対して初値1,586円(+9%)

ほかにも3社くらい申し込んだが、そちらは全部外れた。大型の案件は当選の枠が多いので、私のような個人でも当たりやすいのだと思う。

そして実は、SpaceXの抽選にも申し込んでいた。結果は落選。当時は正直ちょっと悔しかったのだが、そのあとの値動きを見ると、外れてよかったのかもしれない。

SpaceXのその後:初日は+19%、そこから高値の約半値に

SpaceXは6月12日にナスダックに上場した。公開価格は135ドル、初日の終値は161ドル(+19%)。上場から数日で200ドルを超えた。

ところが、夏にかけて流れが変わる。上場前からの株主の一部で売却制限が解け始めたことと、上場後初めての決算発表が重なり、株価は100ドル台半ばまで下落した。上場直後の高値から見ると約半値だ。9月26日時点の株価は、公開価格からも-28%の水準だった(詳しくはSpaceX株、上場後まさかの-28%の記事に書いた)。

もし私が当選して、初日の勢いを見て「まだ上がる」と持ち続けていたら……と考えると、ちょっと冷や汗が出る。

日本のIPOと米国のIPOは「別のゲーム」だった

調べてみて一番感じたのは、同じ「IPOの抽選」でも、日本と米国ではゲームの中身がかなり違うということだ。

日本のIPO 米国の大型IPO
よくある戦略 当たったら初値で売る 上場後も持ち続けるかを考える
初値の傾向 公開価格を上回ることが多い(2026年上半期は全社の平均で約+11%) 初日に上がっても、その後に大きく下がる例が多い
注意点 当選しにくい 売却制限の解除・初決算で値動きが荒い

日本のIPOは「当たれば初値で売って、ちょっとしたお小遣い」という感覚の人が多いと思う。私も東京メトロのときはそういう気持ちだった。

一方、米国では長い目で見ると、IPO株のリターンは市場平均に負けやすいことが研究で知られている。米フロリダ大学のジェイ・リッター教授の有名な研究では、上場初日の終値で買ったIPO株の3年後のリターンは、同じ業種・規模の上場企業より低かった。Uber、Lyft、そして日本のメルカリも、上場直後の熱狂のあとに大きく下げた時期がある。

もちろんGoogleやAmazonのように「初日に買っておけばよかった」例もある。ただ、それを「次も同じになる」と考えるのは生存バイアスだと思う。

加藤智也の視点:毎日使っているAIの会社だから、少額だけ申し込む

私はClaudeの有料プランを契約していて、ブログの調べものや仕事の整理に毎日のように使っている。ユーザーとしては「よくできている」と感じているし、自分がお金を払っているサービスの会社が上場するというのは、なんだか不思議な感覚だ。

AI関連では、これまで半導体側から投資してきた。エヌビディア(NVDA)を15株、台湾積体電路(TSM)を10株持っていて、どちらも大きな含み益になっている。AnthropicのようなAIモデルを作る会社に直接投資できるなら、新しい選択肢になる。

8月の時点では「上場直後の熱狂期は見送る」と書いていた。今もその考えは基本的に変わっていない。ただ、公開価格で、NISAで、手数料なしで申し込めるなら話は少し違う。そこで今の私のスタンスはこうだ。

  • 日本の証券会社で取り扱いがあれば、少額だけ抽選に申し込む
  • 当たっても、初値の勢いだけで買い増しはしない
  • 売却制限が解ける時期と、上場後の最初の決算を見るまでは様子を見る

SpaceXで外れて「様子見できた」経験が、ちょうどいい教訓になった。当たれば記念に、外れても気にしない。それくらいの距離感でいいと思っている。

申し込む前にチェックしたい5つのこと

  1. 評価額が売上の何倍か:報道では、年換算の売上は年末に1,100億ドルを超える見込みとされ、2兆ドルの評価額なら売上の約18倍。成長期待が大きく織り込まれた水準だ
  2. 売却制限(ロックアップ)がいつ解けるか:SpaceXはここで大きく下げた。上場前の株主が売れるようになる時期は事前に確認しておきたい
  3. 上場後最初の決算の時期:上場時の期待と、実際の数字の差が出るタイミング
  4. NISA枠を使いすぎない:成長投資枠は年240万円。当選して大きな金額を入れると、ほかの積立に回す枠が減る
  5. 為替:米国株なので、株価が動かなくても円高になれば円換算では目減りする

私の判断が正しいとは限りません。でも、こういう角度から見てみると世界が広がる気がしています。売買はご自身の判断で。

💡 補足
・ブックビルディング:上場前に投資家の需要を集めて公開価格を決める仕組み。個人は抽選で当たった分だけ公開価格で買える
・ロックアップ(売却制限):上場前からの株主が、上場後の一定期間は株を売れない約束。解除されると売りが出て株価が下がりやすい
・NISA成長投資枠:年間240万円まで。IPO株を買う場合も、この枠を使う
・未上場の段階でAnthropic株を個人が直接買う手段は、基本的にない。上場前にできる準備は準備編にまとめている
📊 加藤智也の分析メモ
日本のIPOは「当たれば初値で利益」になりやすい一方、米国の大型IPOは「当たってからが本番」だと感じた。SpaceXは公開価格で買えた人ですら、高値で売れなければ含み損になっている。AnthropicのIPOは、サービスのユーザーとして良いと思う気持ちと、投資家としての冷静さを分けて考えるいい練習になりそうだ。評価額の大きさについては、評価額2兆ドル、AI企業の巨大IPOを読み解くでも掘り下げている。

※本記事は2026年10月2日時点の報道・各社公表情報をもとにしています。AnthropicのIPOの時期・評価額・日本での取扱いは未確定で、今後変わる可能性があります。特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。

◀ 前編(準備編):Anthropic株を日本から買う方法──IPO前にできる3つの準備

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